兵庫県芦屋市にあります、きた鍼灸整骨院、院長の北 善之です。
ここ数年で日本は世界屈指の長寿国になりました。生活文化や食文化は時代と共にどんどん変化していきました。
一昔前には水やお茶を買うなんて皆さん想像できたでしょうか?
このように私たちを取り巻く環境は刻一刻と変化しています。
しかし体そのものはあまり変化した様子は感じられないかもしれませんが、確実に進化ではなく退化していってのではないでしょうか。
生活するにも身の回りの物は便利になり動くことも確実に減っています。
いつの間にか本来あるべき体力や筋肉が気付かないうちに減っていってしまっているかもしれません。
体重が増えることによる膝への負担が増える理由
関節の役割は体を動かすことはもちろんのこと、クッションとしての役割もあります。
歩いている際には、地面からの反発力を各関節が吸収し脳への衝撃を減らしています。しかし、下からの衝撃だけでなく常に重力により下への荷重が体にかかっています。
つまり、立っているだけでも関節には負荷がかかっている状態になります。なので少しだけでも体重が増えると関節へかかる負担は大きくなります。
ある研究によると体重が1キロ増えると歩く場合に平地で約3~4倍、階段の昇降で約6~7倍の負担が、ひざ関節にかかるといわれています。
体重が3キロ増えると歩く場合は約9キロ、階段の昇降では約18キロの重さが余分にひざに加わっているといわれています。たかが1キロですが馬鹿にはできませんね。
筋力が下がることで招く大きな代償
ほとんどの人の運動歴は学生時代までの方が多いように見受けられます。
実際に働き始めたり結婚し家庭に入ると運動をする機会が減り、運動することから離れていってしまいます。
日常動作と運動の動作では主として使用する筋肉に違いがあります。筋肉の特性として使用しない筋肉は減りやすく、持続的な運動で使用することで筋肉を維持できるとされています。
私たちの生活は一昔に比べてかなり便利になっています。便利になったということは生活の中で動くことが減っているということです。
すると筋力も減少傾向にあり昔と比べても疲れやすい体になっていると考えられます。
筋力が下がり体重が増えると膝への負担も大きくなります。症状がすぐに現れることはありませんが年齢を重ねるごとにだんだんと現れるようになっていきます。
ひざの痛みは変形性膝関節症と診断されることが多く特に女性に多く見られます。それには様々な影響が考えられますが、女性ホルモンが関係しているといわれています。
ひざ痛が日頃の生活に与える影響と予後
ひざの痛みは関節の隙間が狭くなり関節の動きが悪くなることが原因の一つとされています。
家事や階段の昇降でひざに痛みがあるとどうしても動かすことを止めようとします。すると生活動作にも制限ができてしまい生活が不自由になってしまいます。
やりたいことがあってもどうしても痛みが脳裏によぎってしまい行動が制限されてしまいます。体重が知らず知らずのうちに増えてしまいよりひざの痛みが強くなってしまうことが考えられます。
痛いから動かない、すると体重が増える、よりひざへの負担が増え痛みが強くなる。
これが最悪のスパイラルになり痛みが少なくなったころには骨が変形してしまっていることになります。
残念ながら、一度変形した骨は戻ることはありません。ですので、体重を増やさないために痛みがあっても、動ける範囲は動くことをおススメします。
膝痛から生涯困らないようにするには
年齢を重ねることが膝痛の問題だと考えますが、実はひざ痛の問題は若い時の古傷であったり、生まれつきの骨格に原因がありそれが運動を止めてから徐々に関節に影響を与えていることがございます。
まずはご自身の身の回りをチェックしてしてみましょう。
例えば・・・
靴底のすり減り方は均等か?
ズボンの裾を片側だけ踏んでいないか?
スカートは回らないか?
など左右均等に体が動いているのかをチェックしてみて下さい。もし思い当たることがあるようであれば整体などで整えることも必要かと思われます。
早い段階で行動することが肝になります。
「まだ私は若いから全然大丈夫。」
「昔から体形があまり変わってないから関係ないわ。」
なんてことを言って、ひざが痛くなってしまうケースを幾度となく見てきました。どんな方でも将来痛みが生じる可能性があることを否定できません。
トレーニングの重要性と体形を維持するために
基本的には荷重は外側に片寄りやすくなっており、普段の動作においても足の外側の筋肉はよく使うのですが内側はあまり使わなくなります。
ひざの周りの特に内側の筋力が徐々に少なくなってくることで、ひざ関節の内側に痛みを生じます。そのため、太ももの内側の筋肉のトレーニングが必要となります。
方法としては座った状態で太ももの内側でボールやバスタオルなどを挟むようにトレーニングを行います。
あとは歩いている時に外側に荷重がかかりすぎていないか?
など日頃からご自身の行動を意識してみて下さい。
体重が増えないように一日一回、決まった時間に体重計に乗るようにしてください。
無理に痩せようと食事を抜いたり偏った食生活は避けましょう。食べたいものは食べて、その上で適度な運動を始めてみるのもいいと思います。
大事なのは思い付きで始めるのではなく、計画性を持って継続して行うことです。すぐに成果はみられないかもしれませんがそこで止めないように続けてみて下さい。
トレーニングの目安は3か月です。継続していけば必ず体は変化します。
最後に
今回の記事を作成する経緯に至った理由として、実際に治療院にひざの痛みを訴える方がかなり多いです。
そのほとんどは60代以降の方が多数ですが中には40代の方もいらっしゃいます。こうしてみてみるとひざが痛くなる年齢がどんどん下がってきているように感じられます。
痛みがある方のなかでも継続的に運動を続けている方より運動をしていない方のほうが圧倒的に多いです。なかなか運動を始めることは難しいかと思いますので、まずは軽いウォーキングから初めてみるものいいかもしれません。
大切なのは「続ける」ことです。
ひざの痛みが改善しない時はいつでもご相談ください。
【監修 鍼灸師・柔道整復師 北 善之】